スプーンに映った世界を見る

「好き」という気持ちだけを大切に生きていく

これから芸人がYouTubeで成功するには何をすべきか?

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もうチームでYouTubeを作らないと勝てないんじゃないか?

2019年→2020年で芸人のYouTubeチャンネル開設数が激増、世は大YouTube時代へ

1年前は芸人のYouTubeといえば一部の人が自主ラジオをあげているものが多く、YouTube用の企画として練られた動画はまだ少ない状態だった。

ライブシーンで活躍する芸人さんは、ライブのネタ映像すらYouTubeにほとんど上がっていないことが当たり前だった。

それがここ1年で企画に力を入れたYouTubeチャンネルが急増し、もはやYouTuberと呼べるほどテレビよりもYouTube上での影響力が強い芸人さんも増えた。

コロナの影響で、ライブを中心に活動している芸人さんのYouTubeチャンネル開設数も激増。
知名度がなければライブのネタ映像だけでは伸びないとはいえ、ライブのネタ映像がYouTube上に上がっているだけでもかなりの進歩と感じる。

参考:観測できただけの2/26〜4/3のイベント自粛期間にYouTubeチャンネルを開設した芸人リスト(44組)

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YouTubeチャンネルを継続するにはモチベーションの維持が不可欠

一方で、更新を続けてはいるもののどの動画も2桁〜3桁台でチャンネル登録者数1000人までなかなか到達しないYouTubeチャンネルは多くある。

伸び悩み例と成功例では何が違うのか。

 

伸び悩みの例

完全に一人(もしくは1組)でYouTubeをやっていると、

  1. 「とりあえず毎日投稿」を目標にした結果クオリティーが低い動画を垂れ流すことになる
  2. チャンネル登録者数が思ったように伸びずモチベーションが落ちる
  3. 毎日投稿のノルマに疲弊し、YouTube自体辞めてしまう(もしくは、クオリティーが低いから伸びない、という状態が続く)

という負のループに入ってしまうことが多い印象。

 

成功例

一方、成功例では早い段階からチームを組んでYouTubeを始めていることが多いように思う。

  1. YouTube開設の時点で協力者を募る
    (ある程度の協力者が現れるくらいの面白さだったり、すでに芸人としてある程度活動していて人脈があることは前提になるかも)
  2. 芸人は企画を考えたりパフォーマンスすることにメインにする
    作家は企画の壁打ち、企画立案、YouTubeのトレンドの把握などを行う
    デザインや動画編集はスタッフが担当する(編集は芸人本人でやることも)
    など、役割分担を行う
  3. 企画に対する動画の反応を見て、YouTubeでの方向性を決めていく

というようにチームでうごくと、少なくとも「反応がなく、相談する相手もおらず、モチベーションが低下してやめる」という負のループを防げる。
現在成功しているチャンネルはどれもチームで制作されかなりしっかり作り込まれている印象。
(チームのマネジメントが大変、という別の問題も浮上するがここでは議論を割愛)

自分で自分を宣伝することは難しい

チームで活動することは、宣伝しやすくなるというメリットもある。

マーケティング担当のスタッフをつくることで

  1. 宣伝することが恥ずかしくない(堂々と宣伝できる)
  2. 効果的に宣伝できる(告知の時間帯、文言など)

効果がある。

1. 宣伝することが恥ずかしくない

自分でつくったものを自分で「面白いですよ!」と宣伝することは難しい。
「完璧な出来ではないからたくさん見られてもな」と思ったり、
「ダメだったときに落ち込みたくない」という気持ちから簡素にしか宣伝しないという予防線を張ったり、
自分でいくら「面白いですよ!」と言ったところで信頼されなかったり。

Stand.fmでやっているネットラジオ「さすらいラビーのオーライパパ」で、お笑いライブ情報ワラリー!でやっているアンケートに関する話題があがっていた。

stand.fm

中田「ランキングで上位になりたいけど、ファンに投票を呼び掛けたから上位に入るのはバレたときにダサくて嫌だ。ファンがやみくもに投票して、テーマに合っていないのに上位に入るのも浮いて恥ずかしいから嫌だ。自然に上位に入りたい。」

これは、「自分で自分の名前を売る」ということに対する大多数の芸人さんの心理を表しているのではないかと思う。

「自分の面白さだけで勝負して、自然に売れたい」

しかし、ほとんどのものは適切に宣伝しなければ誰にも気づいてもらえない。

「ネタだけがんばっていれば面白さに気付いてもらえて売れる」というコースは強力な助っ人が現れない限りかなりの長期戦となる。

くりぃむしちゅーの有田さんが「特典映像」というDVD-BOXを出したときにこんな一幕があった。


このDVD-BOXは有田さんが撮りおろした映像集だったため、発売当時誰も内容を知らなかった。
PRイベントが組まれたけれど、「自信作です!絶対買ってください!」と自分で明言するのが恥ずかしくて、「まぁ、買いたい人は買えばいいんじゃないですか」とろくなアピールもできずに終わってしまった。
結果、発売のニュースはあまり話題にされず、販売枚数も伸びないまま終わった。

くりぃむしちゅーの有田さんですら、きちんと宣伝しないとDVDは売れない。

自分で自分を宣伝することに心理的ハードルがあるのであれば、宣伝担当の人にやってもらえばいいのだ。

レッドブルつばささんが「自分で自分の応援アカウントを運営する」というある意味では珍妙な行動に出ているのも、ウィンザー効果を狙うのであれば効果的である。
(中の人がバレてたら口コミ効果としては意味ないけど)

 

2. 効果的に宣伝できる(告知の時間帯、文言など)

マーケティング担当を決めることで告知の時間帯や告知の文言などに気を遣えるようにもなる。
たまに夜勤の休憩時間で平日の深夜3時にライブの告知をしてる芸人さんがいたりするのですが、「さすがに誰も見ていないのでは」と思ってしまう。
基本的にはお笑いライブファンにとって
ライブの待ち時間である18:00〜19:00
ライブ後の電車の移動時間である21:30〜22:30
など、閲覧数の多い時間帯に告知を流した方が効果が高い。
告知文自体も文言を興味の引くものにしたり、文章とURLだけではなく画像や動画を載せる…など、エンゲージメントを増やすためにやれることはたくさんある。

チームで芸人の売り方を考えよう

「芸人は「面白いものをつくる」ことだけじゃなく「自分のお笑いを流通に載せる」ことをもっと考えるべき」

ということを5年前に提唱していた芸人さんがいたけれど、5年経ってもインターネットを活用して自分を効果的に宣伝できている芸人さんはそこまで多くない。
やはり「自分がやりたいことをやる」というネタを突き詰めて考える職人的な思考と、「自分を客観的に相手にわかりやすく伝える」というマーケティング的な思考は同居しにくい能力なのではと感じる。
宣伝には単に頻繁なSNS更新が必要になり、めちゃくちゃめんどくさいというのもある。

「宣伝」は本来は芸能事務所のマネージャーがやるべきことでしたが、若手芸人の数が増えたことで明らかに手が回っていない状態が続いている。
事務所に所属していても、自分で自分を売っていかなければいけない状態なのは明らかだ。

これからの芸人のYouTubeは、「チームで勝負する」というのが必須になっていくのではないだろうか。